横浜駅前 当院は、横浜駅からすぐの一般歯科を併設した矯正歯科専門の施設です。地域に根付いて40年以上に渡る歴史ある歯科医院です。村田歯科医院内の「村田歯科 横浜矯正歯科センター」では、矯正治療専門の歯科医による舌側矯正、マウスピース矯正や顎変形症(保険の矯正)などより専門的な矯正歯科治療にも取り組んでおります(矯正専門医常勤)。矯正専門外来は土曜日も診療を実施しております。 同施設内には、一般歯科も併設しております。
「最近、部分矯正ではできますか?」などのご質問を受けることがあります。
また、「部分矯正」を前面にだしているクリニックもあるようです。
「部分矯正」とは、歯並びで「特に気になる部分だけ」や「前歯の気になる箇所だけ」を治療する方法です。
「部分矯正」を「最新の新しい治療」「特殊な治療」と称している宣伝や謳い文句をネットなどで目にすることもあります。
色々、迷ってしまいますよね。
ここでは、「部分矯正」について、矯正歯科の専門医として、正しい知識や概念をすこしでもお話できたらと思います。
部分矯正という特殊な治療技術があるわけではありません。!!
部分矯正という言葉は、昔からあり、補綴前処置(ブリッジや被せ物をよりよくする全治処置)として行われてきました。(←ココポイント)
部分矯正では、歯並びがキレイに整っていることの中でも、部分的な「前歯がキレイに整っている」ことをゴールにすることがほとんどです。
前歯の並びはその人の笑顔に影響し、第一印象を決める要素であり「一番目立つ前歯を治したい!」と思われるかたも多いかと思います。
矯正歯科での部分矯正を適応する場合は以下のような場合が考えられます
- 診断の結果、奥歯の咬み合わせは問題なく、前歯のみの改善で良好な結果が出せる場合(あるいは、奥歯の一部のみの改善で十分な場合)
- 部分的な治療だけでも十分な結果が得られ、かつデメリットが少ない場合
- 患者様の希望、都合により全体矯正ができない場合
- 昔、全体の矯正治療を行ったが経年変化で前歯がズレたので前歯だけでも再治療したいとうい場合
などです。つまり、部分矯正とは限局した範囲で行う矯正治療で、全てが改善されるというわけではありません。(「限局矯正」、「MTM」などということもあります)
部分矯正では全体の矯正治療に比べて、文字通り部分ですから許容範囲の限界もあり、解剖学的見地から考えても「仕上がりの完成度は低く」なります。
ここで、「部分矯正」の「適応」や「向き不向き」について、以下にまとめてみました。
部分矯正では「患者様の希望(ニーズ)」と「医学的根拠や解剖学的見解からの許容範囲」とのの擦り合わせが必要になります。(←ココもポイント)
<部分矯正の適応(また、適応する場合)について>
- 奥歯の咬み合わせなど、前歯のみなど治したい部分以外に大きな問題がないこと。
- 諸事情で、奥歯のズレがあるのはわかっているが、今回は前歯のみ早期に治したい、また、全体矯正より「仕上がりの完成度は低い」ことに同意していただける方
- どうしても、治療費を抑えたい、前歯だけでも並べたいことを希望される場合
部分矯正を行うことで、それ以外の歯並び・咬み合わせにとってマイナスにならないこと - 転勤や結婚式前など、治療期間が限られてしまっているかた
補綴前処置(ブリッジ、インプラントや被せ物をよりよくする前処置)が治療目的であること - 歯周病などで前歯が隙っ歯になってしまっている場合
- 特に前歯などガタガタ多く、歯磨きし辛いため、歯周病になりやすい状態の改善
- 下アゴを前後左右に動かした時に、アゴの関節と調和にて運動ができ、負荷がかからないバランスになっていること。
- 歯や歯の周囲の組織の状態が安定していること。
- ムリな咬み合わせになっていないこと咀嚼運動(食べものを噛む)のとき、舌を噛みやすくなってしまわないこと
などが挙げられます。
<部分矯正ができない場合(部分矯正をやらない方が良い場合)について>
- 重度の歯列不正がある場合(全体の矯正治療でないと逆に良くない咬み合わせになる)
- しっかりした、咬み合わせや歯並びの治療を希望する場合
- 部分矯正を行うことで、該当箇所の歯はキレイに並ぶが、それ以外の歯並び・咬み合わせにとってマイナス面が多くなる場合。
- 上下アゴの骨格的なズレが著しい場合(顎変形症)
- 重度の開咬で舌のクセが著しい
- 口元の突出感があり、これを改善したい場合(E-lineの改善)
などです。
当院では、「部分矯正」でも必ず、精密検査を行い分析・診断を行います。
そして、診断もせず安易に「安く早くできる」「費用も安くできる」という理由で部分矯正をお勧めすることはありません。
必ずメリット・デメリットをご説明します。
また、部分矯正に使用する装置も、従来の表側の装置に加えて「舌側(裏側)矯正装置」や「マウスピース型矯正装置」など、多種多様な装置が適応できます
そして、治療中・治療直後のお話だけでなく、中長期な予後に起こりうるメリット・デメリットもご理解いただいた上で、治療を開始していただきます。(←ココもポイント)
時には、部分矯正が向かないケースもあります。
- 部分的な矯正治療によって、もともとの歯並びや咬み合わせを大きく崩すことにならないか?
- 本来、全体矯正が望ましいが、部分矯正に変更したことでのデメリットはどのくらいか?または、どの部分が妥協点になるか?
- 部分矯正で治せる範囲をきちんとご理解頂けているか?
など、充分理解、同意していただいての治療開始となります。
なんでもかんでも、「部分矯正」ということではありません。
また、決して「部分矯正」を否定しているわけでもありません。
どんなことにも向き不向きがあると思います。メリットや良い事ばかり目が行きがちですが、しっかりと正しい状態をご理解いただいた上で、治療にのぞんで頂きたく思っています。
村田歯科医院/村田歯科 横浜矯正歯科センター
村田正人
日付: 2020年3月19日 カテゴリ:ブログ, 噛む 咬む, 大人の矯正, 未分類, 歯並び, 治療法, 矯正歯科, 矯正治療のメリット, 矯正装置・治療法, 部分矯正 and tagged MTM, 不適応, 適応, 部分矯正