当院は、横浜駅から一番近い矯正歯科と一般歯科を個別に併設した医院です。村田歯科医院内にある矯正歯科専門の「村田歯科 横浜矯正歯科センター」では、矯正歯科認定医以上の歯科医による舌側矯正や顎変形症(保険の矯正)、マウスピース型矯正装置など、より専門的な矯正歯科治療にも取り組んでおります。 同施設内には、一般歯科も併設しており、一般の虫歯治療、詰め物・かぶせ物(ブリッジやクラウン)、抜歯などの口腔外科処置、小児歯科処置や歯周病治療なども併設の施設で受けることが出来ます。
先日、テレビ番組で、「睡眠時無呼吸症候群」の患者さんが増えている!
とくに、ご本に自覚のない「隠れ 睡眠時無呼吸症候群」の方が増えているとの特集を目にしました。そして、女性に多くなっているとのことでした。
まさに!!強く同感です!
一見、睡眠時無呼吸症候群の治療とは関連のないような「矯正歯科」ですが、実は「睡眠時無呼吸症候群」の治療の一分野、一手段として、治療を担っている矯正歯科もあります。
手前みそな話ですが、私もご縁があり、多くの「睡眠時無呼吸症候群」の患者さんの治療を矯正歯科医として経験させていただいております。
以前から「睡眠時無呼吸症候群」は男性に多いとされてきました。しかし、私の最近思うのですが、実は女性にも多いのでは?と感じています。
今回は、最近、矯正歯科の初診相談で、多く来院いただくようになった症状やお悩みについてです。
「アゴが小さいんです」
「アゴが無いので治したいです」
「睡眠の質が悪いんです」
「飲み込みづらいです」
「いびきをかいてしまい、目が覚めてしまうんです」
こんなお悩みでいらっしゃる方が、多くなってきました。
このような患者さんには、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を併発している疑いがあります。ダイレクトに「私、睡眠時無呼吸症候群の診断を受けているので根本的になおしたいです」とおっしゃって来院される方もいらしゃいます。
このような治療や視点を持ち治療を行っている矯正歯科医は多くはないかと思います。
私は、たまたま、ご縁があり、このような気道や呼吸を意識した視点から治療を行うようになりました。
先日も大学病院での仲間うちの講演会で、私も発表させていただきました。その演題は、
矯正歯科医としての、顎や顔の形態、気道の見方や捉え方についての内容を発表させていただきました。日々の日常診療で、気道や呼吸に対する考え方を知ってもらいたく講演させていただきました。
現在、睡眠時無呼吸症候群の治療法には、
①シーパップ療法(CPAP療法)
②スリープスプリント療法(専用のマウスピースを使用し症状を和らげる対処療法)
③アゴの外科手術で根本的な原因を取り除く根治的治療
の3パターンが代表的です。このような治療法の中から、重症度によって治療法が選択されます。
睡眠時無呼吸症候群の治療法のうち、①と②については、主に睡眠外来や専門内科などでの治療、また、マウスピースは依頼を受けた歯科でつくることになります。
③については、当院でも多く担っている部分であり、今回、「睡眠時無呼吸症候群の根治療法」と称して少々記事を書かせていただきます。
治療法の概要についてです。
上アゴの骨や下アゴ骨の骨全体を手術で前後・上下・左右に移動して(骨切り術)、気道を広げる治療法で、顎変形症の外科手術(上下顎前方移動手術)といいます。
この外科手術(口腔外科もしくは形成外科)は、一般的に矯正治療(矯正歯科)と併せて行われるため、CPAPやマウスピースなどの対症療法とは異なり、アゴの位置を変えて気道を広げるので、治療後は装具を装着しないで、最も治療効果の得られる根治療法の一つです。
もちろん、入院、全身麻酔での手術となり、一般的には5~10日前後の入院期間が必要となります。この治療には、口腔外科医(形成外科医)と歯科矯正医の連携が重要となります。
どのようなケースの方が適応するかというと・・・・
① 骨格的に下あご骨が小さい、または、上あごが前に出ている(出っ歯)の方、かみ合せが悪い方
②アゴが後方に位置している顎変形症(下顎後退症、小下顎症)の人
③CPAPがどうしても合わなかった人(特に、痩せ型の人。)
下あごが小さく、後退している場合、同様に舌も後ろに位置しているため、気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こす要因となります。また、男女差はあまり気にしなくても良いと思います。
大きく開けた時に「喉の奥(口蓋垂や軟口蓋)が見えない場合は気道が狭く睡眠時無呼吸症候群の疑い度が増します。」
<治療の進め方>
①初診・相談(SAS治療を行っている矯正歯科、口腔外科など)
②精密検査・診断・治療計画を練る(矯正歯科医と口腔外科医の連携)
③術前矯正(半年~1年)・・・矯正歯科医
④手術(入院5~10日前後)・・・口腔外科医または形成外科
⑤術後矯正(手術後、半年~1年)・・・矯正歯科医(この間に口腔外科で手術時のプレート除去)
⑥保定・・・矯正歯科医
このような手順で進めていきます。
※なお、自立支援(育成・更生)医療機関の指定を受けている(保険適用の矯正治療を実施)歯科医院で矯正治療をしない場合には、手術も保険適応となりませんので、注意が必要です!(←ココポイント)
もちろん、上記のような指定医療機関での治療が前提となりますが、保険適用の有無としては、「顎変形症(下顎後退症や小下顎症)」の診断を受けている場合は、保険適用となります。
その費用概要としては、健康保険の適応になるので、症状や術式により個人差があります。大よその概要としては・・・・
(歯科矯正治療+外科的手術)
費用目安:手術費用+入院で約30~40万円。(自己負担3割)
矯正治療費:20~30万円程度(自己負担3割)
となり、大よそ、自己負担3割で総額:50~60万円前後となります(症状や術式により差額あり)。
外科手術治療の必要性がなく、矯正歯科治療のみの場合には、保険は適用されず、通常、矯正歯科治療と同等の扱いになります。また、睡眠障害に対する診断だけでも、保険適用外となります。
以上、「睡眠時無呼吸症候群の根治療法」の概要について紹介させていただきました。
当院でも多くの方が、相談、治療にいらしております。
「アゴが小さく感じる」「いびきがひどい」「いびきで目が覚める」「下アゴが引っ込んでいる」
などなど、気になる症状があれば、一度、相談にいらしてみてください。
快適な睡眠、生活のためにも、見た目歯並びや噛み合わせの治療だけでなく、矯正歯科医としてお役に立てることがあるかもしれません。
村田歯科医院 / 村田歯科 横浜矯正歯科センター
村田正人
日付: 2019年1月22日 カテゴリ:ブログ, 下顎後退症, 中高年の矯正, 保険が効く矯正, 全身への影響・健康への影響, 口呼吸・オトガイ, 外科矯正・顎変形症・口蓋裂, 大人の矯正, 歯並び, 睡眠時無呼吸症候群, 矯正歯科, 矯正治療のメリット, 矯正装置・治療法, 顎変形症 and tagged アゴが小さい, 呼吸, 睡眠時無呼吸症候群, 矯正歯科, 顎