村田歯科医院(村田歯科 横浜矯正歯科センター)です。
当院は、横浜駅前にて45年を超える医院です(自立支援指定医療機関)。
睡眠時に「いびき」をかいてしまう!周りから指摘される!などのご経験をお持ちのかたも多いのではないでしょうか?
「いびき」は、眠っているときに吸い込んだ空気が、喉を通るときに鳴る振動音です。
異常な呼吸がおき、自分でも気が付かないうちに、色々な障害を体に及ぼす病気です。
睡眠時に「いびき」をかいてしまう!周りから指摘される!
などのご経験をお持ちのかたも多いのではないでしょうか?
じつは、「いびき」が出るということは、呼吸が一時的に止まっているとうことです。とまるということは「無呼吸状態」です。一時的とはいえ止まって、気流がおこり一気に空気が入り振動音がでます。
身体的症状としては、「いびきの頻発」は勿論、昼間の眠気、呼吸停止(無呼吸)、睡眠の質の低下などが起こります。さらにひどい場合、「日中の眠気」「頭痛」などを引き起こします。
このような症状があれば、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性が高いです。
睡眠時無呼吸症候群のメカニズムは異常な呼吸がおき、自分でも気が付かないうちに、色々な障害を体に及ぼす病気です。
睡眠時無呼吸症候群の原因は、「①一時的な原因」と「②慢性的(根本的)な原因」などに大別されます。
<一時的な原因>
1.寝室の温度・湿度による口呼吸が原因
(室温が低くかったり湿度が低かったりすると口呼吸となりいびきの原因になります)
2. 薬理学的要因により筋肉が弛緩・気道が狭くなる
(アルコール、服用薬、たばこなどの人体への作用がいびきの原因にもなります)
3.悪い寝姿勢が気道を狭める
(合わない寝具の使用など眠るときの姿勢(体位)がいびきの原因となることがあります)
<慢性的(根本的)な原因>
1.扁桃の肥大によるもの(アデノイド、咽頭扁桃、舌扁桃など)
2.肥満によるもの(首周りの過剰な体内脂肪により上気道が狭くなります)
3.口呼吸によるもの(口呼吸の習慣(癖)や鼻づまり等から起こる口呼吸鼻では鼻呼吸をするよりも気道が狭くなるのでいびきの原因になります)
4.加齢による筋力低下によるもの(加齢に伴う筋力低下は気道狭窄の原因になります)
5.アゴ(特に下アゴ)小さい・狭いことによるもの(アゴが小さいと舌が喉側におちこみ気道を狭くします)
「一時的な原因」については、生活習慣など環境を変えたり、対症療法で軽減することが多いです。
代表的なものでは、
①シーパップ療法(CPAP療法)
②スリープスプリント療法(専用のマウスピースを使用し症状を和らげる対処療法)
などがあります。
①シーパップ(CPAP)療法
・CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)と呼ばれる機械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です(健康保険適用)。現在では中等~重症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の標準的治療法として広く用いられています。
②マウスピース(スリープスプリント)療法
下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで、上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法です。
治療に使用するマウスピースの作成は、患者様の口腔内・歯列の形態にきちんと合ったものでなくてはならないため、歯科医院にて精密に作製する必要があります。
耳鼻咽喉科医や睡眠障害専門外来などで検査を受け、睡眠時無呼吸症候群の診断をされた担当医師からの紹介状が発行されると、マウスピースは医療保険の適応となります。
マウスピース(スリープスプリント)による治療は、軽度~中程度の閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんに比較的有効ですが、重症の患者さんには治療が不十分となる可能性があります。👆 (ここポイント)
基本的には「シーパップ(CPAP)療法」や「マウスピース(スリープスプリント)療法」は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群に適応される「対症療法」です。「一時的な原因」の場合において、症状を緩和させるために有効的です。
「シーパップ(CPAP)療法をおこなっても合わなかった(改善しなかった)」
「CPAPを装着している時はいいが外すとすぐに元にもどる」
「歯科医院でスリープスプリント作ってもらい使ったが改善しなかった」
「マウスピースで一時的に改善したが症状がすぐに出てしまう」
などの声を聞くこともあります。
歯科医院でも「睡眠時無呼吸症候群」の治療法として「スリープスプリント療法」を積極的に打ち出している医院などもありますが、あくまで対症療法であり根本的治療にはならない場合も多々あります。
やはり「慢性的(根本的)な原因」による場合には、対症療法は効果が薄いとお考えになってください。この場合は、直接的なアプローチがが必要になります。
特に「扁桃の肥大によるもの」や「アゴ(特に下アゴ)小さい・狭いことによるもの」は根本的な原因に直接アプローチします。
通常、扁桃は6歳くらいで最大になり、その後、成長と共に縮小します。ただ、幼い頃に風邪などで喉に炎症が起こると、肥大したまま残ってしまうことがあります。また、ウイルスや細菌の影響から炎症がおこり、一時的に肥大している場合もあります。この場合は
耳鼻咽喉科や睡眠障害外来などにて、直接、外科的な切除が有効となります。その他、口蓋垂や軟口蓋なども切除する場合があります。最近ではレーザーによる手術などもあり、外科的な侵襲が少なくて済む場合もあります。
「アゴ(特に下アゴ)小さい・狭いことによるもの」については、特に、矯正歯科、口腔外科や形成外科との連携治療が必要です。
「歯列矯正とアゴの外科手術で根本的な原因を取り除く根治的治療」で「顎変形症治療(がくへんけいしょう治療)」と言います。
顎変形症のなかでも下顎後退症(かがくこうたいしょう)と診断される場合になります。
この治療については、当院で多く担っております。
「アゴが小さい場合(顎変形症・下顎後退症)の睡眠時無呼吸症候群の根治療法」です。
矯正歯科でもまだまだ、下顎後退症における顎変形症治療を積極的に行う医院は多くないように思います。
適応ケース(症状)としては・・・
・骨格的に下あご骨が小さい
・骨格的に上あごが前に出ている(出っ歯)の方、
・かみ合せがズレているど非常悪い方(この場合、歯列矯正のみで改善傾向になる場合もあります)
・アゴが後方に位置している顎変形症(下顎後退症、小下顎症)の人
・CPAPがどうしても合わなかった人(特に、痩せ型の人)
このような状田では、下あごが小さく、後退している場合、同様に舌も後ろに位置しているため、気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす要因となります。
顎変形症(下顎後退症)の治療は、「上下顎前方移動手術」といいます。
上アゴの骨や下アゴ骨の骨全体を手術で前後・上下・左右に移動して(骨切り術)、気道を広げる治療法で、顎変形症の外科手術の応用となります。
この外科手術(形成外科や口腔外科)は、一般的に矯正治療(矯正歯科)と併せて行われるため、アゴの位置を変えて気道を広げるので、直接効果を得られやすく治療効果の高い根治療法の一つです。
ただし、外科手術を伴う治療ですから、それなりの負担もあります。全身麻酔での手術となり、数時間かかります。5~10日前後の入院が必要となります。
治療手順としては・・・
①初診・相談(顎変形症の治療を行っている矯正歯科、口腔外科など)
②精密検査・診断・治療計画を練る(矯正歯科医と口腔外科医または形成外科医との連携)
③術前矯正(1年~1年半)・・・矯正歯科医
④手術(入院5~10日前後)・・・口腔外科医または形成外科医
⑤術後矯正(手術後、1年~1年半)・・・矯正歯科医(この間に口腔外科や形成外科で手術時のプレート除去)
⑥保定・・・矯正歯科医
このような手順で進めていきます。
なお、自立支援(育成・更生)医療機関の指定を受けている(保険適用の矯正治療を実施)歯科医院で矯正治療をしない場合には、手術も保険適応となりませんので、注意が必要です!
もちろん、上記のような指定医療機関での治療が前提となりますが、保険適用の有無としては、「顎変形症(下顎後退症や小下顎症)」の診断を受けている場合は、保険適用となります。
なお、外科手術治療の必要性がなく、矯正歯科治療のみの場合には、保険は適用されず、通常の矯正歯科治療と同等の扱いになります。また、睡眠障害に対する診断だけでも、保険適用外となります(睡眠時無呼吸症候群がアゴの骨格が原因ではない場合)。
指定を受けている矯正歯科での「アゴが小さい場合(顎変形症・下顎後退症)の睡眠時無呼吸症候群の根治療法」は、あくまで「顎変形症(下顎後退症)」の診断名のもとの治療となります。
つまり、「顎変形症(下顎後退症)」の方のほとんどが「睡眠時無呼吸症候群」を発症しているので、結果、睡眠時無呼吸症候群改善につながるということです。
「睡眠時無呼吸症候群」という診断のもと保険適応による矯正治療は出来ません。(👆ッココポイント)
少々、ややこしいかもしれませんが・・・・
今回は「睡眠時無呼吸症候群の治療法」の概要について紹介させていただきました。
当院でも多くの方が、相談、治療にいらしております。
「アゴが小さく感じる」
「いびきがひどい」
「いびきで目が覚める」
「下アゴが引っ込んでいる」
などなど、気になる症状があれば、一度、相談にいらしてみてください。
歯並びや噛み合わせの治療だけでなく、骨格的なアプローチも行う矯正歯科医としてお役に立てることがあるかもしれません。
村田歯科医院 / 村田歯科 横浜矯正歯科センター
村田正人