受口(反対咬合)の治療について
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村田歯科医院/村田歯科 横浜矯正歯科センターの村田正人です。

新型コロナウィルス感染症 オミクロン株の猛威がつづきますね。油断せずに1つ1つできる予防策を講じていきたいと思います。

 

先日、「地域の歯科検診で受口を指摘されたので!」

とのことで、お子さんといっしょに相談に来られた方がいらっしゃいました。

そこで「受口」について、症状や治療のタイミングなどについて説明していきたいと思います。

 

まず、受口と言いますと「下アゴが出ている」

真っ先にそういったイメージを持たれる方が多いと思います。

「受口」とは前歯が反対に噛んでいる「反対咬合」の俗称です

前歯が反対に噛んでいる状態は

「下アゴが大きい場合」

「上アゴが小さい場合」

「上アゴが小さく、下あごも大きい場合」

などなど、様々であり治療方針や使用装置も状況に応じさまざまです。

 

日本人には、反対咬合の患者さんが多いと言われています。下アゴだけでなく、日本人は欧米系の方と比較して、上アゴの成長が弱い傾向にあると言われています。

また、アゴや顔の周り(顎顔面領域)の成長傾向は「優性遺伝」です。

親御さんが反対咬合の状態だと、お子さんも反対咬合になる確率が高い傾向にあります。

後にもでてきますが、「骨格性の反対咬合(顎変形症)」の場合は遺伝的要因がとくに強いです。ご両親のどちらも「骨格性の反対咬合」ではなかったとしても、ご親族の中でどなたかいらっしゃれば、その傾向が発現されることもあります。

もし、遺伝的に骨格的な反対咬合ではなくても、上アゴの成長が始まる時期(小学生低学年~)に反対咬合を放置すると環境要因により「骨格的反対咬合」になってしまう場合もあります。下アゴの成長と身長がのびるのは同じ時期です。身長が著しく伸び始める第2次成長期の前に前歯の反対をなくすことがとても重要になります。

 

上記を踏まえて申しますと・・・・

 

ベストは、、早めの時期からのアプローチや経過観察をおすすめします。

遅くとも「9歳」までには治療を始めることが必要とお考えください。

ただ、

「わかっていたけど中々治療するタイミングがなかった」

「かかりつけの一般歯科で指摘されなかった」

「そもそも歯科に行くことがあまりなく放置してしまった」

「成人になったのでもう治らないと思っていた」

等々、諸事情もあるかと思います。

そこで、ご自身やお子さんが、今、どの段階にいらっしゃるのか?段階に分けて目安を挙げてみます。

 

決まりがあるわけではありませんが、以下では段階に応じてわけてみます。

 

第1段階(5~6歳):この時期の反対咬合は、本格出来な矯正治療に入る前の段階です。機能的な装置などを使用して、反対咬合による舌のクセや筋肉のバランスの不調和の改善を試みます。以前は、前歯が永久歯になる時に治ることもあるからまだ早いと言われていた年齢です。今でも「まだ早い」とおっしゃる先生もいるかもしれません。確かに歯並び改善ということでは、自然に治ることもあるかもしれません。しかし、この考え方は古い考え方です。反対咬合が続くことで舌のクセや口腔周囲筋の不調和が助長される可能性が高くなります。クセを治すのは非常に時間がかかる場合もあり、装置が使える年齢になったら、反対咬合は出来るだけ早目に改善する方が良いです。

 

第2段階(6~9歳):この段階では、本格的な矯正治療が必要になります。「第1期治療」や「小児矯正」などと呼ばれます。この時期は、ちょうど上アゴの成長期です(下アゴは身長が伸びる時期に成長します)。特に上アゴが小さい場合の反対咬合はこの時期のアプローチが有効です。アゴのアーチを広げたり、上アゴの成長を利用して上下アゴの不調和を改善していきます。また、上アゴが小さくなくても反対咬合を放置すると上アゴの成長が下アゴに阻まれ、結果、反対咬合ひどくなる場合(骨格性)もあります。必ず、前歯が反対に噛んでいる反対咬合を改善しておく必要があります。

 

第3段階(9歳~成長停止まで):この時期は、「第2段階」にあるように前歯の反対は治します。ただし、この時期は、下アゴの成長期を迎えます。骨格的は下アゴの成長傾向が強い場合(骨格性の反対咬合)は、身長の伸びが止まるまでは油断できません。骨格性の成長傾向が強い場合、一度、矯正治療でキレイに改善されても、下アゴの成長期にまた反対咬合になってしまう場合があります。永久歯での矯正治療開始のタイミングは、成長の経過観察も行いながら決めていきます。もちろん、骨格的な要素が薄い場合は、永久歯交換を見据えて通常の矯正治療を開始します。

 

第4段階(成長停止以降~):永久歯での矯正治療となります。この場合、治療方針としては、2タイプに分類されます。それは「反対咬合が骨格性であるか?ないか?」です。骨格性とは「上下のアゴは正常な歯の角度(歯軸)で対応しきれないほどズレている(上下アゴの骨格が反対)」ということです。これは「顎変形症(がくへんけいしょう)」という診断のもと、通常の矯正治療に加えて、アゴの手術(外科矯正治療)が必要になります。骨格性ではない場合は、歯だけの反対になりますから、通常の矯正治療だけで改善されます。また、「顎変形症」は、指定医療機関では保険適応になります。

 

1点、反対咬合の治療では、注意すべき点があります。

治療段階の項目でも述べたように、状況によっては、何をしても下アゴの成長が抑えられない場合があるということです。

下アゴが成長するときと身長が伸びる時の成長のピークはほとんど同じです。身長が伸びる時に下あごも前に成長してくるということです。

 

子供の頃に上下の前歯の反対咬合をしっかり治しておくとある程度は下顎の成長は抑えることができます。

しかし、下アゴの成長が著しい方(骨格性の反対咬合)は、それでも抑えることができない場合があります。そのため受口(反対咬合)の治療は、ケースによっては、長期間の経過観察が必要な場合も多々あります。

 

ご自身やお子様がどういったケースで、どのようは治療方針が適切なのか?焦らずしっかり治していくことが重要になります。

まとめると・・・・

  1. 日本人は上アゴの成長が弱い傾向にあり反対咬合になりやすい
  2. 反対咬合の治療は早めがベスト
  3. 遅くとも9歳までには治療開始が必要
  4. 骨格性反対咬合の傾向がある場合は長期的経過観察が必要
  5. 遺伝的要因の場合もあり親族でも確認が必要
  6. 骨格性反対咬合の場合でも外科手術併用によりしっかり治せる

 

以上のようになるかと思います。

いずれにせよ、気になるタイミングがあれば、早めの受診をおすすめいたします。

一度、ご相談ください。

 

村田歯科医院/村田歯科 横浜矯正歯科センター

(自立支援医療指定医療機関・顎機能診断施設)

 

村田正人

 

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